精神疾患の原因と治療は人それぞれ異なります
人はそれぞれ異なる「これまでの歴史」と「これからの未来」があり、異なる「生物学的・遺伝学的問題」と「心理・社会的問題」を背景に抱えています。
当院では、表出した症状のみで診断するのではなく、医師が丁寧な問診をして、症状の背後にある心因的な出来事、性格傾向や行動パターン、生活習慣や環境などから、患者さんの理解を深め、それぞれの状態に合った治療を行い、病気の回復を目指します。
人はそれぞれ異なる「これまでの歴史」と「これからの未来」があり、異なる「生物学的・遺伝学的問題」と「心理・社会的問題」を背景に抱えています。
当院では、表出した症状のみで診断するのではなく、医師が丁寧な問診をして、症状の背後にある心因的な出来事、性格傾向や行動パターン、生活習慣や環境などから、患者さんの理解を深め、それぞれの状態に合った治療を行い、病気の回復を目指します。
現在の精神医学は、「症状中心の考え方」が基本になっています。
それぞれの患者の症状をみながら、それに応じて適切な薬を選択し、組み合わせて、治療を進めていきます。
同じ精神障害(疾患名)であっても、症状の程度、併存している精神症状の有無、現在どんな症状が出ているか、また個人の年齢、体格、性差、発達障害やパーソナリティ障害特性の併存など複数の要素によって、薬の使い方はそれぞれ違ってきます。
不安 |
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対人緊張 |
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恐怖 |
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躁うつ状態 |
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過敏な反応 |
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神経質な行動 |
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記憶力や認知機能の低下 |
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社会不適応と嗜癖行動 |
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からだの不調 |
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対象のない漠然とした恐れ、と定義されることが多いが、「孤独に対する不安」「治療に対する不安」など対象が明らかであっても一般的に使われています。不安は身体症状と結びつきが強く、不安とともに動悸や息苦しさをはじめとする自律神経症状を訴える患者さんが多くみられます。
特定の対象に対する恐れ、と定義されます。対人恐怖、不潔恐怖、広場恐怖など、対象も人や物に限らず、見えないものや特定の状況に対する恐怖などもみられます。かかりつけ医がよく遭遇する恐怖はパニック障害の広場恐怖(狭い空間、電車内、歯科の診察台など)、心気症の疾病恐怖症などがあります。
気分が落ち込み、憂うつな状態であり、通常うれしいことや楽しいことをそうであると感じません。うつ病は心理的な原因や誘因がないことも多いです。
正しくないことをそうであると確信して訂正が不可能な思考内容のことをいいます。
よく遭遇する妄想は、統合失調症の「被害関係妄想(命を狙われている)(行動が監視されている)」「追跡妄想(後をつけられている)」、認知症の「物盗られ妄想」「嫉妬妄想」、妄想性障害の「被害妄想」です。レビー小体型認知症では幻視に基づいた妄想がみられることがあります。
実際に存在しない知覚を感じることをいいます。基本的には五感に応じた幻覚があり、視覚に関する幻覚は幻視、聴覚の幻覚である幻聴、触覚の幻覚である幻触もみられます。幻覚でもっとも頻繁にみられる重要な症状は「幻聴」です。幻聴の明瞭度や内容はさまざまで、不明瞭な雑音のようなものからはっきりと言葉として聞こえるものまでがあり、さらに患者に命令・助言する声、患者の言動についてコメントを伝える声、複数の人が患者について話し合う声などに分けられます。
実際に存在する知覚を誤って認識すること、五感に応じた錯覚がありますが、日常診療で遭遇するものに、視覚に関する錯覚である錯視が挙げられます。
何事もやる気が起きず、行動に移すことも億劫なことであり、「やりたいけどできない」など自分自身がある程度そのことを苦痛に感じているか自覚しています。うつ病やうつ状態、認知症、脳血管障害などに多くみられます。
記憶障害とは、その名の通り自分の体験した出来事や過去についての記憶が抜け落ちてしまう障害のことを言います。 私たちのような自覚のある物忘れとは違い、自覚がなく、それゆえに日常生活に支障が出てきます。また、最近のことからだんだん忘れていくという特徴があります。
初期段階では、新しい事柄が覚えられないこと(短期記憶障害)で、日常的に同じことを繰り返し聞いてくることがあります。また物をしまった場所も忘れたりするので、探し物が多くなることもあります。あるいは水道の蛇口を閉め忘れて水を出しっぱなしにしたり、火をつけっぱなしにしたりして鍋を焦がしてしまうこともあります。
病気が進行してくると、体験そのものを忘れていきます(エピソード記憶障害)。物をしまったことそのものを忘れてしまいますので、探し物に加えて誰かが盗ったという妄想につながりやすくなります。あるいは食事を摂ったことそのものを忘れてしまいますので、「食事はまだ?」と訊いてきたりします。
さらに進行すると、昔のことも忘れてしまったり(長期記憶障害)、身体になじんだはずの包丁の使い方も忘れてしまったり(手続き記憶障害)、言葉の意味も分からなくなって「あれ」とか「それ」とか、よく使う特定の言葉だけを使うようになったりします(意味記憶障害)。
意欲低下と似て、様々なことに関心がなく、何にもやろうとしない状態であるが、本人はそのことを自覚したり悩んだりすることは余りありません。他人に指示された時にはその通りに行動することがあります。認知症や脳血管障害、頭部外傷などでよくみられます。
うつ病はあらゆるすべての疾患の中で4番目に頻度の高い疾患であり、うつ病の有病率は約5~6%、生涯有病率(一生のうち一度はかかる率)が15%(女性は25%)と、誰でもがかかる可能性のある病気です。
憂うつ、悲しい、興味がなくなる、喜びがなくなる、気分が落ち込む、絶望感、孤独感、意欲がなくなる、イライラする、落ち着かない、自分に価値がない、自責感、思考力低下、集中力低下、持続力低下、注意力散漫、死にたい、消えてしまいたい。これらはすべてうつ病の症状です。
心臓がドキドキする、呼吸困難、死ぬのではないか、発狂するのではないかという恐怖、発汗、めまい、ふるえ、窒息感、 発作が起こるのではないかという恐怖、外出できない、乗り物に乗れない、現実感の喪失。これらはパニック障害です。
パニック発作はいつも突然起こり、10分以内に症状はピークに達して、その後1時間以内に自然と治まります。
人前で話す、電話する、食事をする、字を書くのが極端に不安になる。これは社交不安障害(社会不安障害)です。「あがり症」、「赤面症」と呼ぶこともあります。
初対面の人にあいさつをしたり、大勢の人の前で話そうとすると、ドキドキしたり声がふるえたり赤面してしまうことは、誰しも経験したことがあると思います。
統合失調症は、こころや考えがまとまりを欠いてしまう脳の病気です。そのため気分や行動、人間関係などに様々な影響が出てきます。100人に1人くらいがかかるといわれている、それほど珍しい病気ではありません。
統合失調症には、健康なときにはなかった状態が表れる陽性症状と、健康なときにあったものが失われる陰性症状があります。
日常生活において、誰しもストレスに直面します。家庭では、夫婦の不和や子どもの教育問題、職場では人間関係の悩みや過重労働、転勤、退職などです。そしてこれらのストレスにうまく適応できなくなると、しばしば身体的、精神的な症状が出てきます。
たいていの場合は一定範囲内にとどまり短期間でおさまりますが、時と場合によっては予想以上に大 きくなり「病的な」レベルに達することもあります。すると仕事や学業、家庭生活に悪影響が及びます。
発達障害というのは、子どもの精神機能が発達する過程で起きることがある、さまざまな障害の総称です。
主な発達障害には、読む・書く・計算するなどの能力のうち、どれかが極端にできないLD(学習障害、限局性学習症)、多動で落ち着きがなく物事に集中するのが困難なADHD(注意欠如・多動性障害)、冗談や比喩を理解できずに言葉を額面どおりに解釈したり、特定のものごとへのこだわりが強かったりする自閉症スペクラム障害ASD(自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群)などがあります。
睡眠障害(不眠症)とは、実際の睡眠時間の長短にかかわらず睡眠不足感が強く、日常生活を送るうえで支障がおきる状態のことです。睡眠には個人差が大きく、短い睡眠時間でぐっすり眠る人もいれば、8時間以上眠らないとだめな人もいます。また、加齢とともに、眠りが浅くなったり、朝早く目が覚めたりすることはよく知られています。
現代の複雑多様なストレス社会にあって、不眠に悩まされている人は多く、日本では不眠の出現率は一般人口の約20%(5人に1人)といわれています。
認知症は、脳の構造そのものに変化が生じておこる病気(脳器質性疾患)です。いったん正常に発達した知能が、低下をきたす点が特徴です。脳の構想にそのものに何らかの変化が生じて起こる病気です。
高齢になるほど認知症になる比率は上昇するといわれています。85歳以上になると5人に1人となり、75歳以降に急激に認知症の有病率が増加します。