現在、病院に行ったときに、病院内で薬を渡される(院内薬局)、いわゆる「院内処方」という形式を取っているところは減少しています。2013年時点では、病院の外の調剤薬局(院外薬局)で薬を処方される「院外処方」の割合が、70%を突破しているという調査結果もあります。
院内処方のメリットで最も大きなものは、何といっても「お薬代が安い(自己負担が院外処方の半分以下)」ということです。どうして薬代が安くなるのかというと、これは国が推し進めてきた「医薬分業」政策に起因するところが大きいのです。
国が医薬分業による院外処方の推進するために、院外の調剤薬局の利益が高くなるように処方せん料、調剤基本料、調剤料等の点数計算体系を設定したので、結果的に院外処方の薬代は、院内処方時に比べて患者さんの負担額が高額になってしまいました。
患者さんの窓口負担は、院内処方よりも院外処方の方が高くなる理由として、以下の3点が指摘できます。院外処方は患者さんの自己負担が院内処方の3~4倍以上になるケースもあります。
- 院内処方の場合の「処方料」よりも院外処方の場合の「処方せん料」が高く設定されていること。
- 調剤に関する基本的な点数が、医療機関(診療報酬)よりも調剤薬局(調剤点数)の方が高く設定されていること。
- 院外薬局(調剤薬局)には、院内薬局(医療機関)にはない加算が多く設けられていること。
その他、薬を受け取る為に、いちいち病院の外に出て調剤薬局に行くという「二度手間」が省けるというのも院内処方のメリットと言えるでしょう。院外の薬局への移動は、特に高齢の患者さんにとって大きな負担になります。
また、院内処方の場合、処方する薬の在庫がないということはありませんが、院外処方(院外薬局)では、該当する薬の在庫がなく、取り寄せに時間が掛かる、という事態が発生する場合があります。